2026-09-04 → 09-11 の市況
全面安の週。中央値 -1.55%、上昇は 5 分の 1 に届かない。下げに商いは伴っていない。09-07 は日経平均が前場で 2% 上げながら中央値は 0.00% で、値がさ 2 銘柄が指数を押し上げただけだった。
全面安の週だった。3632 銘柄の中央値が -1.55%、上昇は 771 銘柄で全体の 21% にとどまる。 10% 以上下げた銘柄が 71 ある。
プライムが一番重い
| 区分 | 銘柄数 | 中央値 | 等加重 | 上昇した割合 |
|---|---|---|---|---|
| プライム | 1554 | -2.15% | -2.28% | 17.0% |
| スタンダード | 1491 | -1.03% | -1.07% | 24.2% |
| グロース | 587 | -1.70% | -2.17% | 24.9% |
下げ幅も上昇した割合も、プライムが 3 区分で最も悪い。大型ほど売られた週になる。
グロースは中央値 -1.70% に対して等加重 -2.17% で、差が 0.47 ポイント開いている。他の 2 区分は 0.1 ポイント前後なので、グロースだけ深く下げた銘柄が平均を引っ張っている。上昇した割合は 24.9% と 3 区分で最も高い。下げた銘柄と上げた銘柄に割れた形になる。
逃げ先は電気・ガスだけ
26 業種のうち、プラスは電気・ガス業の 1 つしかない。
| 業種 | 銘柄数 | 中央値 | 上昇した割合 |
|---|---|---|---|
| 電気・ガス業 | 29 | +0.92% | 58.6% |
| 倉庫・運輸関連業 | 27 | -0.26% | 29.6% |
| 陸運業 | 55 | -0.40% | 32.7% |
| パルプ・紙 | 22 | -0.68% | 18.2% |
| 食料品 | 124 | -0.85% | 27.4% |
上位は内需とディフェンシブが並ぶ。電気・ガス業は上昇した割合も 58.6% で、業種としてまとまって 買われている。
下位は素材と機械が占める。
| 業種 | 銘柄数 | 中央値 | 上昇した割合 |
|---|---|---|---|
| 非鉄金属 | 32 | -3.28% | 12.5% |
| 精密機器 | 52 | -2.78% | 17.3% |
| 機械 | 205 | -2.67% | 20.5% |
| 輸送用機器 | 79 | -2.33% | 6.3% |
| 化学 | 196 | -2.27% | 14.3% |
| 電気機器 | 223 | -2.16% | 22.9% |
輸送用機器は上昇した割合が 6.3% しかない。 79 銘柄のうち上げたのは 5 銘柄で、業種として ほぼ全滅している。中央値では非鉄金属のほうが下げているものの、広がりでは輸送用機器が最も 重い。証券・商品先物取引業も 8.1% と低い。
週の中では 9/8 が重い
| 日 | 銘柄数 | 中央値 | 上昇 | 下落 |
|---|---|---|---|---|
| 09-07 | 3659 | 0.00% | 1622 | 1793 |
| 09-08 | 3663 | -0.69% | 906 | 2523 |
| 09-09 | 3661 | -0.25% | 1322 | 2073 |
| 09-10 | 3672 | -0.05% | 1545 | 1858 |
| 09-11 | 3664 | -0.45% | 1039 | 2382 |
1 日で 1% を超えて下げた日は無い。週を通じて少しずつ削られた形になる。09-08 と 09-11 の 2 日で、下落銘柄が 2400 を超えている。
売られ方は薄い
売買代金は平常並みだった。全体の日平均は 9.10 兆円で、直前 4 週 (7.81〜10.33 兆円) の幅に 収まっている。中央値 -1.55% の下げを、商いの膨らみが伴っていない。
区分別に割ると 1 つだけ違う。
| 区分 | 当週の日平均 | 直前 4 週比 |
|---|---|---|
| プライム | 8 兆 5,638 億円 | 0.99 倍 |
| スタンダード | 2,020 億円 | 1.00 倍 |
| グロース | 3,291 億円 | 1.28 倍 |
グロースだけ商いが 3 割近く増えている。値幅では中央値 -1.70% とプライムより浅いのに、 売買代金は膨らんだ。上昇した割合が 24.9% と 3 区分で最も高かったことと合わせると、 売り買いが交錯した区分になる。プライムは平常の商いのまま、静かに削られた。
業種別では情報・通信業だけが 1.71 倍に跳ねている。ほかは建設業の 1.12 倍が最大で、 残りは 1.0 倍前後だった。
商いを膨らませた銘柄
当週の日平均売買代金が 200 億円を超えた銘柄のうち、直前 4 週比の大きい順に並べる。
| コード | 銘柄 | 業種 | 当週日平均 | 倍率 | 週間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 6203 | 豊和工業 | 機械 | 416 億円 | 125.9 倍 | +88.1% |
| 485A | パワーエックス | 電気機器 | 252 億円 | 3.4 倍 | +18.0% |
| 9984 | ソフトバンクグループ | 情報・通信業 | 5,963 億円 | 3.1 倍 | +17.0% |
| 6330 | 東洋エンジニアリング | 建設業 | 259 億円 | 1.7 倍 | +10.5% |
| 593A | ティアフォー | 情報・通信業 | 824 億円 | 1.6 倍 | -25.6% |
| 8001 | 伊藤忠商事 | 卸売業 | 423 億円 | 1.6 倍 | +4.1% |
情報・通信業の 1.71 倍は、ほぼソフトバンクグループ 1 銘柄で説明がつく。当週の日平均 5,963 億円は、全体 9.10 兆円の 6.6% にあたる。
原因
市場全体 — 原油と金利
日経平均は 09-11 に 1,259.61 円安の 64,011.34 円で引けた。週間では前週末比 1,009 円安に なる。2 週続けて 1,000 円を超える下げだった。
理由として挙がっているのは、中東情勢の緊迫化による原油高と、それに伴う長期金利の上昇。 北海ブレント油は 1 バレル 109 ドルまで上げている。半導体・AI 関連が特に売られた。
手元の等加重の中央値 -1.55% と、日経平均の週間 -1.55% (1,009 ÷ 65,020) がほぼ一致した。 作り方が違うので偶然になる。毎週こうなるとは限らない。
ソフトバンクグループ — 半導体への資金集中
週間 +17.0%、売買代金 3.1 倍。上げは最初の 2 日に集中している。
| 日 | 終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 09-04 | 5,590 | — |
| 09-07 | 6,217 | +11.2% |
| 09-08 | 6,556 | +5.5% |
| 09-09 | 6,810 | +3.9% |
| 09-10 | 6,810 | 0.0% |
| 09-11 | 6,540 | -4.0% |
09-07 は値がさの半導体関連に買いが集中した日になる。前場引けの時点で日経平均は 1,439.17 円高 の 66,460.11 円まで上げ、うち約 757 円をアドバンテストとソフトバンクグループの 2 銘柄が 押し上げていた。 09-08 はアジア市場で韓国総合株価指数 (KOSPI) が上げ、AI 関連への物色が 続いた。SBG は一時 7% 高の 6,653 円まで買われている。
- 日経平均は大幅続伸、アドバンテとソフトバンクGの2銘柄で約757円押し上げ — 財経新聞 (2026-09-07 12:37)
- ソフトバンクGの株価一時7%高 韓国株高受け、チャートは強気形成 — 日本経済新聞 (2026-09-08)
この銘柄だけ、ticks の値を取得元から取り直して照合した。記事と食い違って見えたためで、
09-04 から 09-11 の 6 営業日すべて一致した。ほかの銘柄は照合していない。
その 09-07 の中央値は 0.00% だった。 上昇 1,622 に対して下落 1,793。日経平均が前場で 2% 以上上げた日に、中央値の銘柄は動いていない。値がさ数銘柄が指数を持ち上げただけで、 市場の地合いはすでに重かったことになる。等加重で見る意味がここに出る。
豊和工業 — ドローンの適時開示
09-07 に「株式会社 Prodrone とのドローン開発・製造連携について」を開示している。Prodrone が 豊和工業の敷地内に第 1 量産工場を新設し、豊和工業を引受先とする第三者割当増資を実施する 内容になる。開示当日から 5 営業日続けて上げた。
- 豊和工業[6203]:株式会社Prodroneとのドローン開発・製造連携について 2026年9月7日(適時開示) — 日経会社情報DIGITAL
- 豊和工業内にProdrone第1量産工場を新設 — PRODRONE (2026-09-07)
出来高 125.9 倍は、直前 4 週がほとんど商いの無い状態だったことも効いている。09-04 の 出来高は 11.6 万株で、09-09 には 2,483 万株まで増えた。
ティアフォー — 4 倍に上げた後の反落
週間 -25.6%、売買代金 1.6 倍。適時開示は出ていない。 直近の開示は 08-14 の第 3 四半期 決算短信だけで、下げは急騰の反動にあたる。
| 日 | 終値 | 売買代金 |
|---|---|---|
| 08-19 | 883 | 13 億円 |
| 08-20 | 1,033 | 99 億円 |
| 08-28 | 1,999 | 762 億円 |
| 09-03 | 3,570 | 2,356 億円 |
| 09-04 | 2,870 | 1,023 億円 |
| 09-11 | 2,134 | 93 億円 |
起点は 08-20 のルネサスエレクトロニクスとの協業発表になる。自動運転 OSS の Autoware と 次世代車載 SoC「R-Car Gen 5」を組み合わせ、レベル 2+ からレベル 4 まで対応する基盤を作る 内容だった。この日から 10 営業日で 883 円が 3,570 円まで上げている。4.04 倍。
09-04 にストップ安。前日比 700 円安の 2,870 円、下落率 19.60%。材料が出たのではなく、 過熱感からの売りだった。以降は商いが細りながら下げ続け、09-11 の売買代金は 93 億円まで 落ちている。ピークの 25 分の 1 になる。
- ルネサスとティアフォーが自動運転向け半導体 レベル4に対応 — 日本経済新聞 (2026-08-20)
- ティアフォー、ルネサスとSDV向けのオープンかつAIネイティブなコンピューティングプラットフォームの構築に向けて協業 — PR TIMES
- ティアフォー株価、一時ストップ安 過熱感から売り — 日本経済新聞 (2026-09-04 14:41)
08-31 だけ出来高が 194 万株しかないのに終値が +20% 上げている。ストップ高に張り付いて 商いが細った日になる。
決算は先行投資の段階にある。2026 年 9 月期の第 3 四半期累計 (2025-10-01 〜 2026-06-30) で
売上高 51.8 億円、営業損失 68.3 億円、純損失 41.7 億円。latest_financials から引けて、
記事の数字とも一致した。売上を超える営業損失を出している会社が 10 営業日で 4 倍になった。
下げの理由を外に探す必要は薄い。
出し方
週次市況の出し方 v1 に従った。この週に固有の値だけ書く。
- 期間は 2026-09-04 の終値から 2026-09-11 の終値まで
- 母集団は 3632 銘柄。上場中の 3707 に届かないのは、両端のどちらかで値が付かなかったぶん
- 業種は 20 銘柄以上の 26 業種が残った
未確定
- ソフトバンクグループの上げが 09-09 で止まり、09-11 に -4.0% 戻した理由。09-07 と 09-08 の 材料は取れたものの、失速のほうは見ていない
- 09-07 に日経平均が前場で 2% 上げながら中央値が 0.00% だった件。この乖離が平時からどれだけ 外れているのかは、過去の週と並べないと分からない
- ティアフォーのような急騰と反落を、事前に拾う仕組みが無い。09-01 から 09-03 は グロースの売買代金の相当部分をこの 1 銘柄が占めていたはずで、区分の集計を歪めている
- 電気・ガス業だけプラスだった理由。原油高と金利上昇はどちらも逆風のはずで、説明が付いて いない。ディフェンシブへの逃避だとしても、陸運や食料品より強い理由が分からない
- 1 週間だけでは平時との比較ができない。中央値 -1.55% がどの程度珍しいのかは、過去の週と 並べないと分からない