2026-10-02 → 10-09 の市況
日経平均は +1.06% 上げたのに、中央値は -0.26% で、下げた銘柄のほうが多い。上げの大半は 10-05 の 1 日で、半導体の値がさ 5 銘柄が上げ幅の 7 割を作った日に中央値は 0.00% だった。週の後半は銀行が崩れた。銀行業は中央値 -4.31% と全業種で最も下げ、79 銘柄のうち上げたのは 3 つだけだった。金利高で買われてきた反動と、国内の長期金利の低下が理由に挙がっている。一方で不正アクセスの被害が相次ぎ、中小型のセキュリティ株が 1 週間で 1.5〜2 倍になった。
3624 銘柄の中央値は -0.26%、上昇は 1586 銘柄で 44% になる。日経平均は 10-02 の 68,309.46 円から 10-09 の 69,030.92 円まで 721 円上げた。+1.06% になる。指数と中央値の 差は 1.3 ポイントで、前週の 4.9 ポイントからは縮んだ。
10-05 に指数だけが上げた
| 日 | 銘柄数 | 中央値 | 上昇 | 下落 | 日経平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10-05 | 3647 | 0.00% | 1734 | 1648 | +2.40% |
| 10-06 | 3659 | +0.32% | 2226 | 1156 | +1.05% |
| 10-07 | 3657 | -0.27% | 1247 | 2147 | -0.92% |
| 10-08 | 3647 | -0.86% | 718 | 2711 | -1.42% |
| 10-09 | 3647 | +0.48% | 2351 | 1046 | -0.02% |
10-05 は日経平均が 1,637.40 円高 (+2.40%) の 69,946.86 円で引けた。中央値は 0.00% だった。 9 月の米雇用統計を受けて FRB の早期利上げ観測が後退し、AI・半導体関連に買いが偏った。 アドバンテスト、東京エレクトロン、ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、TDK の 5 銘柄で約 1,210 円を押し上げた。上げ幅の 74% にあたる。プライムでも値上がり 863、値下がり 633 と、指数ほどには広がっていない。
09-07、09-18、09-24、10-01 に続き、指数と中央値のずれは 5 週連続になる。ただし時価総額で重みを 付けると、ずれは平時の幅に収まる (次節)。
10-09 は逆に、日経平均が 11.19 円安とほぼ横ばいの日に、中央値は +0.48% 上げて 2351 銘柄が 上げた。米国のハイテク株安で半導体の値がさ株が重く、それ以外の多くは上げた。
10-08 は全体が崩れた日で、日経平均は 993.60 円安 (-1.42%)、中央値も -0.86% と、上げたのは 718 銘柄にとどまる。
時価総額加重で見ると平時の幅
| 週末 | 日経平均 | 時価総額加重 | 中央値 | 時価総額加重 − 中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 09-25 | +2.07% | +0.89% | +0.30% | 0.59 |
| 10-02 | +2.93% | -0.90% | -1.91% | 1.01 |
| 10-09 | +1.06% | +0.16% | -0.26% | 0.42 |
今週の時価総額加重は +0.16% で、中央値との差は 0.42 ポイント。2024 年 1 月からの 144 週で 差の絶対値の中央値は 0.88 ポイントなので、平時より小さい。日経平均とのずれの大半は、値がさ株で 重みが決まる日経平均の特性による。全期間の推移は 大型株と全体のずれを週ごとに並べる にまとめた。
区分
| 区分 | 銘柄数 | 中央値 | 等加重 | 上昇した割合 |
|---|---|---|---|---|
| プライム | 1550 | +0.31% | +0.53% | 53.9% |
| スタンダード | 1491 | -0.60% | -0.53% | 33.6% |
| グロース | 583 | -0.44% | +0.12% | 42.7% |
前週とは逆に、プライムだけが中央値でプラスになった。グロースは中央値がマイナスなのに等加重は プラスで、一部の銘柄の急騰が平均を持ち上げている (後述のセキュリティ株)。
銀行が全業種で最も下げた
| 業種 | 銘柄数 | 中央値 | 上昇した割合 |
|---|---|---|---|
| 銀行業 | 79 | -4.31% | 3.8% |
| 非鉄金属 | 32 | -2.17% | 28.1% |
| 建設業 | 134 | -1.90% | 21.6% |
| 鉄鋼 | 37 | -1.61% | 10.8% |
| パルプ・紙 | 24 | -0.94% | 33.3% |
銀行業は 79 銘柄のうち 3 つしか上げていない。週の前半は上げており、崩れたのは 10-07 から。
| 日 | 銀行業の中央値 |
|---|---|
| 10-05 | +0.72% |
| 10-06 | +2.46% |
| 10-07 | -2.62% |
| 10-08 | -3.29% |
| 10-09 | -1.63% |
大手は三菱 UFJ が -2.31%、三井住友が -1.96%、みずほが -2.75% だった。下げが大きいのは ゆうちょ銀行 (-6.39%)、しずおか FG (-5.07%) と地銀で、プライムの下落上位にも秋田銀行 (-13.1%)、岩手銀行 (-10.8%)、愛媛銀行 (-10.0%) が並ぶ。
上位は陸運業 (+1.09%、上昇 67.3%)、化学 (+0.74%)、食料品 (+0.49%)、電気機器 (+0.41%)。 前週に権利落ちで最も下げた陸運業が、今週は最も上げた。
売買代金
全体の日平均は 8.17 兆円で、9 月以降のどの週より少ない (前週は 8.78 兆円)。
| 区分 | 当週の日平均 | 直前 4 週比 |
|---|---|---|
| プライム | 7 兆 6,293 億円 | 0.92 倍 |
| スタンダード | 2,061 億円 | 0.99 倍 |
| グロース | 3,308 億円 | 1.23 倍 |
前週に 0.53 倍まで細ったグロースが 1.23 倍に戻した。ただし中身は数銘柄に偏る。グロース全体の 増分は日平均 621 億円で、サイバーセキュリティクラウド (+472 億円) とティアフォー (+309 億円) の 2 銘柄だけでこれを超える。ほかの銘柄の合計はむしろ減っている。
業種の倍率は機械の 1.15 倍が最大で、1.5 倍を超えた業種は無い。
商いを膨らませた銘柄
当週の日平均売買代金が 200 億円を超えた銘柄のうち、直前 4 週比の大きい順に並べる。
| コード | 銘柄 | 業種 | 当週日平均 | 倍率 | 週間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4493 | サイバーセキュリティクラウド | 情報・通信業 | 476 億円 | 121.6 倍 | +87.5% |
| 6762 | TDK | 電気機器 | 697 億円 | 2.3 倍 | +2.2% |
| 593A | ティアフォー | 情報・通信業 | 715 億円 | 1.8 倍 | +21.8% |
| 6871 | 日本マイクロニクス | 電気機器 | 272 億円 | 1.8 倍 | +15.4% |
| 6857 | アドバンテスト | 電気機器 | 6,071 億円 | 1.7 倍 | +7.7% |
| 4004 | レゾナック・ホールディングス | 化学 | 551 億円 | 1.7 倍 | +1.7% |
| 6146 | ディスコ | 機械 | 1,331 億円 | 1.7 倍 | +1.9% |
| 6723 | ルネサスエレクトロニクス | 電気機器 | 557 億円 | 1.6 倍 | +0.7% |
| 5706 | 三井金属 | 非鉄金属 | 544 億円 | 1.5 倍 | +4.1% |
| 6920 | レーザーテック | 電気機器 | 2,114 億円 | 1.4 倍 | +5.3% |
前週に続き、半導体の製造装置・検査装置・材料が過半を占める。ただし前週の 8〜14% ほどには 上げていない。
原因
銀行 — 金利高で買われた反動と、長期金利の低下
10-07 は、前日までの急ピッチの上昇の反動で AI・半導体関連に利益確定の売りが出た。あわせて 「金利高を追い風にこれまで上昇してきた銀行株の売りも目立った」。銀行業の中央値はこの日 -2.62% と、前日の +2.46% から反転した。10-08 は午後に国内の長期金利が低下し、三菱 UFJ など銀行株が下げた。
- 東証大引け 日経平均は3日ぶり反落 利益確定、TOPIXは一時最高値も下げる — 日本経済新聞 (2026-10-07 15:57)
- 東証14時 日経平均、引き続き軟調 銀行株が安い — 日本経済新聞 (2026-10-08 14:11)
長期金利がなぜ下がったのかは確かめていない。日銀は 09-18 に利上げしており、09-30 の時点で 10 月の連続利上げの織り込みは 2 割台に下がっていたと報じられている。
10-05 — 米雇用統計と半導体
10-05 の上げは、9 月の米雇用統計を受けた FRB の早期利上げ観測の後退が背景になる。寄与の 上位 5 銘柄で約 1,210 円を押し上げた (前節)。10-06 も続伸して 70,683.98 円と 7 万円台で 引けた。10-09 は米オープン AI の売上高を巡る報道が AI・半導体関連の重しになり、日経平均は 3 日続落した。
- 【↑】日経平均 大引け| 急反発、半導体関連が買われ一時7万円台回復 (10月5日) — 株探ニュース (2026-10-05 18:13)
- 日経平均大引け:前日比737.12円高の70683.98円 — 財経新聞 (2026-10-06 15:32)
- 日経平均は小幅続落、売り先行も下げ幅を縮小する展開 — 財経新聞 (2026-10-09 16:00)
セキュリティ株 — 相次ぐ不正アクセス
サイバーセキュリティクラウドは 10-02 の 1,973 円から 10-09 の 3,700 円まで、ほぼ倍になった。 売買代金は直前 4 週の日平均 4 億円から 476 億円に膨らんだ。
| 日 | 終値 | 出来高 |
|---|---|---|
| 10-02 | 1,973 | 24 万株 |
| 10-05 | 2,118 | 75 万株 |
| 10-06 | 2,618 | 1,540 万株 |
| 10-07 | 2,858 | 4,474 万株 |
| 10-08 | 3,360 | 41 万株 |
| 10-09 | 3,700 | 1,801 万株 |
10-08 の出来高が 41 万株と細いのは、ストップ高の買い気配に張り付いたため。
企業の不正アクセス被害が相次いだことが手掛かりになった。記事が挙げるのは、エイチ・アイ・エス の子会社でのパスポート情報流出の可能性、ソフトバンク子会社への不正アクセスによるシステム障害、 損害保険ジャパンの外部委託先への不正アクセスの 3 件。対策の需要が増えるとの期待で、関連株に 買いが集まった。
| コード | 銘柄 | 区分 | 週間 |
|---|---|---|---|
| 4398 | ブロードバンドセキュリティ | スタンダード | +96.0% |
| 4493 | サイバーセキュリティクラウド | グロース | +87.5% |
| 3042 | セキュアヴェイル | スタンダード | +71.9% |
| 153A | カウリス | グロース | +71.7% |
| 3692 | FFRI セキュリティ | グロース | +23.2% |
| 3762 | テクマトリックス | プライム | +22.6% |
| 3788 | GMO グローバルサイン・ホールディングス | プライム | +20.7% |
| 3968 | セグエグループ | プライム | +19.4% |
| 3040 | ソリトンシステムズ | プライム | +16.5% |
| 2326 | デジタルアーツ | プライム | +14.8% |
| 4704 | トレンドマイクロ | プライム | +11.6% |
スタンダードとグロースの銘柄ほど大きく上げている。プライムの週間上昇率の上位 7 銘柄のうち 5 つが この並びに入る。
ティアフォー — 経産省の補助金採択と TOPIX 採用
週間 +21.8%。10-05 は前週末の 1,901 円から 2,193 円 (+15.4%) まで上げた。サウジアラビアでの 自動運転バスの実証が経済産業省の補助金の対象事業に採択されたと改めて発表し、欧州の自動車 メーカーとの協業も明らかにした。10-08 には 2,476 円 (+16.0%) まで上げた。前日に新基準の TOPIX への採用 (35 銘柄) が発表されたことが材料になった。
- ティアフォー急伸、TDK反発、インフロニア14%安(5日) — 日経ヴェリタス (2026-10-05 15:36)
- ティアフォーの株価が大幅高…TOPIX採用で幅広い投資家の買いを集める — レスポンス (2026-10-08)
インフロニア — 公募増資
週間 -16.9%、プライムの下落 2 位。10-05 に 2,695.5 円から 2,330 円 (-13.6%) まで売られた。 4,782 万 6,100 株の公募増資と、717 万 3,900 株を上限とするオーバーアロットメントの売出を 発表しており、発行済み株式数は最大で 20% 増える。手取金の概算 1,472 億円は、アルソシア建設と 水 ing の買収で借りた短期借入金の返済に充てる。建設業の中央値 (-1.90%) には、134 銘柄の 1 つなので効いていない。
出し方
週次市況の出し方 v2 に従った。この週に固有の値だけ書く。
- 期間は 2026-10-02 の終値から 2026-10-09 の終値まで。営業日は 5 日
- 母集団は 3624 銘柄
- 業種は 20 銘柄以上の 26 業種が残った
- 作成は 10-14 で、10-12 (スポーツの日) をはさむ。10-13 以降の値動きは入れていない
- 日経平均の終値と前日比は、上に挙げた記事から引いた
- グロースの売買代金の増分は、銘柄ごとに当週の日平均から直前 4 週の日平均を引いて比べた
未確定
- 10-08 に国内の長期金利が下がった理由。日銀の 10 月利上げの観測がさらに後退したのか、海外金利に つられたのか
- 銀行のなかで地銀 (秋田・岩手・愛媛など) の下げが大手より深い理由。金利感応度の差だけか
- 建設業 (-1.90%、上昇 21.6%) と非鉄金属 (-2.17%) が広く下げた理由。インフロニアの増資だけでは 中央値は動かない
- TDK の売買代金が 2.3 倍に膨らんだ理由。10-05 は日経平均の寄与上位に入り、10-06 まで上げた あと 10-09 までに 3,268 円まで戻している
- セキュリティ株の急騰が続くか。前回の同じような物色がどれだけ持続したかを見ていない
- 前週からの持ち越し: 陸運業・証券・その他金融業の前週の下げが権利落ちだけか。陸運業は今週 最も上げており、権利落ちの戻りと読める余地がある