競馬式とトレンド系エントリーの 3 本で分かったこと
1 四半期の保有で残ったのは「安さ」と「高値から遠い銘柄を避ける」の 2 つ。安さは PBR と実績 PER で 5 時点すべてプラスだが、PBR の効きの半分は安い業種の固定配分だった。会社の稼ぐ力は、会社予想・実績の水準・実績の成長の 3 通りで測ってどれも効かなかった。買うのを遅らせると損をし、超過は窓の早いうちに出ている。どれも 2025〜2026 年の 5〜6 四半期、上げ相場中心の局面から出た結果で、局面を越えて効くかは分からない。
2026-09-12 から 09-26 にかけて、バックテストを 3 本回した。次からアイデアが大きく変わる かもしれないので、ここで区切る。3 本で確かめたことと分からなかったことを 1 枚にまとめ、 次の戦略を立てるときの足場にする。
| 版 | 問い | 一言で |
|---|---|---|
| 競馬式 v1 | 能力 (会社予想) × オッズ (割安さ) で選ぶと上がるか | 下位は避けられたが、上位が抜けない。能力が効かない |
| 競馬式 v2 | 会社予想を外し、実績で測り直すと効くか | オッズだけで効く。能力は実績で測っても効かない |
| トレンド系エントリー v1 | 競馬式で選んだ銘柄を、トレンドを待って買うと得か | 待つと損をする |
3 本とも保有期間は 1 四半期で、時点は四半期の頭 (2025-04 または 07 から 2026-07) に置いた。 トレンド系の全銘柄の検証だけは、2024-04 からの毎週の断面を使っている。どれも中央値で読んだ。
分かったこと
確かさの順に並べる。
1. 安い銘柄は上がった。 競馬式 v2 で、PBR と実績 PER の順位を合わせた「オッズ」の上位 20% − 下位 20% は +7.24 ポイント。5 時点すべてでプラスで、全体が −3.2% だった 2026-04 の 窓でも +4.1 残った。3 本を通じて一番しっかりした結果になる。
2. ただし PBR の効きの半分は業種選びだった。 業種の中で順位を付け直すと、PBR は +6.65 から +3.07 に半減する。PER は +4.83 から +3.53 で、業種内でもよく残る。業種の PBR の順位は時点で ほとんど動かない。パルプ・紙、鉄鋼、金属製品は 5 時点すべてで安い側にいる。「安い業種を 持つ」は毎回同じ業種を持つ固定配分と同じで、2025 年度はそれが当たっただけと読む。再現を 期待できるのは、業種の中での安さのほう。
3. 会社の稼ぐ力 (能力) は、上位を選ぶ指標にならなかった。 3 通りで測った。
| 測り方 | 版 | 結果 |
|---|---|---|
| 会社予想の利益率・増益率・ROE | 競馬式 v1 | 効かない。予想が強気なほど先行リターンが低い |
| 実績の利益率・ROE・進捗 | 競馬式 v2 | 上位 − 下位が −0.37 |
| 実績の成長率 (前期比、前年同期比、3 年) | 競馬式 v2 | −1.10〜+0.89。順序が無い |
安い銘柄の中では、利益率も ROE も低いほうが上がった。稼ぐ力は株価にもう織り込まれていて、 動くのは安さのほうだと読んでいる。使えそうなのは足切りだけで、四半期の減益が最も大きい 組は落ちた (競馬式 v2)。
4. 会社予想は偏りを持ち込む。 予想そのものは概ね当たる (達成率の中央値 102%)。しかし、 控えめな予想は上振れ、強気な予想は 3 社に 1 社が 10% 超で下振れる。予想を能力に入れると 逆に効き、予想 EPS を PER の分母に入れると強気な会社が「安い」側に紛れる。
5. 高値から遠い銘柄は、さらに下がる。 3 本とも同じ向きで出た。
| 版 | 指標 | 上位 − 下位 |
|---|---|---|
| 競馬式 v1 | 52 週高値からの下落率 (深いほど上位) | 逆に効いた |
| 競馬式 v2 | 同じ | −3.53 |
| トレンド系エントリー v1 | 250 日高値比 (高値に近いほど上位) | +3.53 |
株価を基準にした逆張りは、1 四半期では負ける。 下げた銘柄を「安くなった」と見て拾うと、 さらに下がる側を掴む。過去の株価を基準にした安さは、その基準の値付けが正しかった保証がない。 会社予想が据え置きの銘柄に絞っても −3.76 と逆に効いたので、市場は会社予想より先に何かを 織り込んでいる。一方、会社の中身 (純資産、利益) を基準にした逆張り、つまり割安 (1) は勝った。 オッズは株価の下げ幅ではなく、PER や PBR で測る。
確かめたのは 1 四半期の保有だけ。短期は少し形が違い、直近 20 日で下げた銘柄は上げた銘柄より 13 週後の中央値が高かった (1.16% 対 0.67%)。ただし最も大きく下げた 20% は低いままで、軽い 押し目は戻り、大きく崩れたものは戻らない。数年の保有はデータが 2024 年からしか無く測れない。
6. 買うのを遅らせると損をした。 競馬式で選んだ銘柄を、トレンドの確認 (60 日線の上、など) まで待って買うと、中央値が 5.24% から 2.9% 前後に落ちた。市場との差 (超過) で見ても、即買い の +3.4〜3.8 ポイントが、待つと +0.4〜0.6 に縮む。安さの超過は窓の早いうちに出ていて、 トレンドが見える頃には終わっている。
7. 大型ほど効く。 オッズの効きはプライム +9.45、スタンダード +4.63、グロース +6.67 (競馬式 v2)。トレンド系の指標も、プライムでだけプラスだった。
効き方が揺れたもの
業種の勢い (馬場) は、業種の直近 60 営業日の騰落で測って、2025-10 と 2026-01 に 10 ポイント前後効いた。前後の時点ではマイナスで、続くときと折れるときがある。数値だけで 決めきれないので、業種は人が市況を見て選ぶ層に回した (競馬式 v2 の v3 案)。
トレンド系の指標 (60 日線、60 日騰落) は、全銘柄で +0.7〜0.9 と弱く、四半期ごとに符号が 入れ替わった。プラスは 2025 年後半の上げ相場が作っている。
分からないこと
一番大きいのは局面の偏り。 2025 年 1 月以降に開示された決算短信を対象にしたので、断面は 5〜6 時点しかない。 2025 年度は低 PBR の銘柄が見直された年で、全体の中央値も 5 時点のうち 4 つでプラスだった。 「安さが効く」「稼ぐ力が効かない」のどちらも、この局面の癖である可能性を消せていない。 下げ相場は 2026-04 の 1 回しか無い。
ほかに、3 本に共通する限界が 3 つある。
- 上場廃止した銘柄が母集団から落ちている。今の上場銘柄で過去の断面を作ったため。高値から 遠いまま廃止した銘柄が抜けていれば、5 の効きは実際より小さく出ている
- 市場指数は使っていない。超過は全銘柄の中央値との差で測った
- 実績 PER が 1 倍を切る銘柄がスクリーンの上位に混ざる。特別利益で EPS が膨らんだのか、値の 誤りなのかは確かめていない
問いとして残っているもの。
- 安さの超過は、窓の中のいつ出ているか。決算発表の前後に集まるなら、時点を四半期の頭に 固定するより、会社ごとの開示日を起点にしたほうが取れる
- 稼ぐ力が効かないのは織り込みか、2025 年度の局面か。保有を 2〜4 四半期に伸ばすと現れるか
- 業種の中での安さ (PER と PBR) だけで組んだスクリーンは、全体の順位と比べてどうか。競馬式 v2 の v3 案にしたまま、まだ回していない
進め方で改めたこと
3 本とも、問いを決めてすぐ集計に入った。要素を 15 個、シグナルを 7 つと総当たりにして、 レポートは結果の表が並ぶだけになった。何を確かめ、何なら「効いた」と言うのかが先に無いので、 どの表を読めばいいか分からなかった。
次からは、バックテストの前にレポートへ戦略を書き、確認してから集計に入る。戦略には問い、 使い道、仮説と理由、検証する指標、前の版との関係、条件、合格ライン、言えないことの 8 項目 を書く。1 つの版で確かめる仮説は 1 つ、主役の指標は 1〜2 つに絞る。合格ラインは結果を見る前 に決める。
未確定
- 2025 年度の局面を外しても、安さ (業種内の PER・PBR) は効くか。2026 年度の後半に時点が 増えたら流し直す
- 安さの超過が窓の中のいつ出ているか
- 上場廃止した銘柄を戻すと、高値から遠い銘柄の効きはどれだけ大きくなるか