ROICとは?計算式・WACCとの比較・ROEとの違いをわかりやすく解説

ROIC(Return on Invested Capital)は、企業が事業に投じた資本に対してどれだけの利益を生み出したかを示す指標です。「投下資本利益率」とも呼ばれ、近年の経営改革議論で注目度が高まっています。


ROICの計算式

ROIC = NOPAT ÷ 投下資本 × 100
  • NOPAT(税引後営業利益)= 営業利益 × (1 − 実効税率)
  • 投下資本 = 自己資本 + 有利子負債

決算ノートでは実際の実効税率(法人税等 ÷ 税引前利益)を使って NOPAT を計算しています。

ROICも2要素に分解できます。

ROIC = 税引後営業利益率 × 投下資本回転率

ROICの目安

水準評価
5%未満低い。多くの場合、資本コスト(WACC)を下回る
5〜8%平均的
8〜15%良好
15%超優秀。強い競争優位性を持つ企業

業種によって大きく異なります。設備投資が重い製造業・インフラ系は低め、ソフトウェア・サービス系は高めになる傾向があります。


ROIC > WACC が株主価値創造の条件

ROIC の最も重要な使い方は、WACC(加重平均資本コスト)との比較です。

関係意味
ROIC > WACC投資家が要求する収益率を上回っており、株主価値を創造している
ROIC = WACC株主価値は変化しない(現状維持)
ROIC < WACC資本コストを下回っており、株主価値を毀損している

日本の上場企業では長年「ROIC < WACC」の企業が多く、東証からの改善要請の背景になっています。


ROICとROEの違い

指標分母分子特徴
ROIC自己資本+有利子負債NOPAT(税引後営業利益)財務構造に左右されない事業の実力
ROE自己資本当期純利益株主視点。借入で数値を高められる

ROE は借入を増やすことで高められますが、ROIC はその影響を受けません。「財務レバレッジに頼らない真の収益力」を測るうえで ROIC が有効です。

ROEの詳しい解説はこちら


ROICが高い企業の2パターン

ROIC = 税引後営業利益率 × 投下資本回転率 なので、高い ROIC には2つの道があります。

パターン特徴業種例
高マージン型価格支配力が高い。投下資本あたりの利益が大きい製薬・ソフトウェア・素材
高回転型少ない資本で多くの売上を生み出す流通・サービス系

デュポン分析マップでは、ROIC をこの2軸で散布図に可視化しています。


決算ノートでROICを確認する

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