TOKYO BASE(3415)2026年1月期 決算分析レポート

決算短信公開日: 2026-03-17

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TOKYO BASE(3415) の2026年1月期通期決算を分析します。「日本発を世界へ」を掲げるアパレル企業の決算です。


総合判断

何が起きたか

前期(2025/1期)は売上成長わずか+1.1%と停滞していたTOKYO BASEが、一転して売上+17.5%・営業利益+32.8%・純利益+55.6%と全指標で過去最高を更新しました。営業利益は期初予想を31.6%上回り、来期は+27%増益の計画を出しています。

なぜ起きたか

この急回復の背景には、前期に実行した構造改革があります。

前期のTOKYO BASEは「守り」の1年でした。ECのポイント・クーポンによる値引き体質を断ち切り(EC売上-32.3%を甘受)、中国の不採算10店舗を撤退し、10億円の自社株買い・消却を実行。売上は横ばいでしたが、粗利率を51.6%に改善し、ROEを6.2%→14.6%に押し上げる基盤を作りました。

今期はその基盤の上に、インバウンド需要という追い風が乗った形です。既存店売上は前年比+11.1%と二桁成長。特にハイエンド業態「THE TOKYO」が+37.7%と大幅に伸び、客単価の上昇と値引き抑制が同時に進行しています。

それは続くのか

持続性を判断する上での材料は3つあります。

  1. 成長ドライバーが分散している: THE TOKYO(+37.7%)、UNITED TOKYO(+21.8%)、CITY(+24.4%)と、複数ブランドが二桁成長。特定の1ブランドに依存していない構図です
  2. 出店計画: 期末店舗数は104店舗。今期28店舗を出店し、来期も15店舗以上を計画しています
  3. 中計との整合性: 2028/1期目標(営業利益30億円・ROE 20%超)に対し、今期19.6億円・14.6%。来期予想は25億円です

一方、販管費は+15.5%(103.4億円)と増加しており、出店加速に伴う固定費増と売上成長のバランスが確認ポイントとなります。在庫も前年末比+7.6億円と積み上がっており、粗利率への影響が注目されます。

投資家として何を見るべきか

  • 既存店売上の月次推移: +11.1%を維持できるか。インバウンドの寄与が落ちた時に国内需要だけで支えられるかが鍵
  • Q1決算(2026/6月発表): 来期予想280億円に対する進捗率。前期Q1は49.4億円(進捗22%)でした
  • 中国事業の損益分岐点: 赤字幅は縮小(営業利益率-6.6%、前年比19.2pt改善)しており、黒字転換の有無が確認ポイントです

サプライズ度

期初予想に対してどれだけ上振れたかを示します。特に営業利益は期初予想比+31.6%と大幅な上方修正での着地となりました。

サプライズ度
売上高
+21.7%
予想比
営業利益
+31.6%
予想比
純利益
+25.0%
予想比

業績サマリー

2026/1期 実績 前年同期比 2027/1期 予想
売上高 237.3億 +17.5% 280.0億
営業利益 19.6億 +32.8% 25.0億
経常利益 18.8億 +28.1% 22.0億
純利益 12.1億 +55.6% 15.0億

純利益は前年同期比+55.6%の大幅増益。売上高・営業利益・純利益すべてが過去最高を更新しました。来期の会社計画は売上高280億円(+17.4%)、営業利益25億円(+26.8%)です。


四半期ごとの進捗推移

Q1→Q2→Q3と着実に利益を積み上げ、通期では期初計画を大幅に超過して着地しました。特にQ3以降のインバウンド需要の取り込みが加速しています。

売上高 前年同期比 通期予想
Q1(2025/5) 49.4億 +3.6% 225.0億
Q2(2025/8) 102.9億 +13.0% 230.0億
Q3(2025/11) 159.0億 +17.5% 230.0億
通期(2026/1) 237.3億 +17.5% 280.0億

注目すべきは、Q2で通期予想を230億円に上方修正し、さらにそれを7億円超過して着地した点です。


ブランド別モメンタム

単一セグメントですが、ブランド別で明暗がはっきり分かれています。

UNITED TOKYO
65.7 億円
+21.8%
好調
STUDIOUS
52.3 億円
+10.0%
好調
PUBLIC TOKYO
32.6 億円
-5.6%
減速
THE TOKYO
24.2 億円
+37.7%
好調
CITY
10.0 億円
+24.4%
好調

注目すべきは成長の多極化です。THE TOKYOがハイエンド層を取り込み+37.7%と急成長している一方、ボリュームゾーンのUNITED TOKYOも+21.8%と堅調。売上構成比で見るとUNITED TOKYOが35%を占め、成長率の高いTHE TOKYOはまだ13%。ハイエンドが伸びながら、ボリュームゾーンも維持されている構図です。

PUBLIC TOKYO(-5.6%)は減収となっています。会社側はブランド間のポジショニング再編の一環と説明しています。


5年トレンド

収益性の推移

ROE・ROA・営業利益率

ROEの推移は-2.5%(コロナ影響)→16.8%(反動増)→-9.6%(中国事業の減損)→6.2%(構造改革中)→14.6%(今期)です。中計目標は2028/1期にROE 20%超を掲げています。

EPS・配当の推移

EPS・DPS

EPSは17.85円となりました。前期に10億円の自社株買い・消却(発行済の約6%)を実行しています。配当は0→0→2→4→5→(来期予想7円)と推移しており、配当性向は20.5%です。

キャッシュフローの推移

キャッシュフロー

CFの構図が「守り」から「攻め」に明確にシフトしました。前期は営業CF17.4億円を稼ぎながら投資は7.6億円に抑え、財務CFも借入返済に充てていた「キャッシュ蓄積モード」。今期は営業CF13.1億円に対し投資CFが-16.7億円と倍増、営業CFだけでは賄えず短期借入を12億円増やして投資に充てています。

中計で宣言した「出店加速フェーズ」への移行を反映した動きです。自己資本比率は42.0%(前期44.5%)と若干低下し、Net Debt/EBITDA倍率は0.14倍となっています。


有価証券報告書から見る企業体質

前期(2025/1期)の有報AI要約から、構造変化のポイントを抜粋します。

構造改革が奏功

  • ECの値引き体質脱却: EC売上は-32.3%と意図的に減収させたが、粗利率改善に寄与
  • 中国不採算店の撤退完了: 10店舗を閉鎖し6店舗体制に。既存店は+14.3%と回復基調
  • 自社株買い+消却: 約10億円(発行済株式の6%)を取得・即時消却。EPS向上にコミット

財務の健全性

  • 自己資本比率44.5%(有報時点)→42.0%(今期末)と推移
  • Net Debt/EBITDA倍率は約0.14倍

来期の注目ポイント

  1. 売上高280億円・営業利益25億円 — 17%増収・27%増益の計画。既存店売上は前期+11.1%でした
  2. 海外出店加速 — 韓国への初出店、香港拡大。中国事業の赤字幅は劇的に縮小(営業利益率-6.6%、前年比19.2pt改善)
  3. 配当7円予想(前期5円から増配)— 配当性向は20.5%
  4. 中計進捗 — 2028年1月期目標の営業利益30億円・ROE 20%に対し、今期19.6億円・14.6%まで到達

懸念点

  • 販管費の膨張: 人件費・地代家賃の増加で103.4億円(+15.5%)。トップライン成長で吸収できるかが鍵
  • 在庫リスク: 前年末比+7.6億円の在庫増。ファミリーセールでの消化が粗利率を圧迫
  • 中国・地政学リスク: 赤字縮小は見られるが、政治的リスクは不透明
  • CEO依存: 創業者・谷正人CEOへの依存度の高さがリスク要因