企業解説
1. 企業概要
日本酸素ホールディングス株式会社(以下、大陽日酸)は、三菱ケミカルグループ傘下で、世界4極(日本、米国、欧州、アジア・オセアニア)に事業展開する産業ガス世界4位の大手企業です。
- 事業内容: 鉄鋼、化学、エレクトロニクス、医療向け産業ガス(酸素、窒素、アルゴン、水素等)の製造・販売、およびサーモスブランドの魔法瓶・調理器具の展開。
- 主要製品: セパレートガス、特殊ガス、半導体製造装置、家庭用品(ステンレス製魔法瓶)。
- 主要顧客: 鉄鋼メーカー、半導体メーカー、化学プラント、医療機関等。
- 競合環境: 国内ではエア・ウォーターが最大の手強、グローバルではLinde、Air Liquide、Air Productsの世界3強と激しいシェア争いを展開しています。
2. 要点(3行)
- 収益拡大と価格転嫁: 売上収益1兆3,080億円(前年比4.2%増)、コア営業利益1,891億円(同13.9%増)と、コスト増を上回る価格マネジメントにより増収増益。
- 米国での巨額減損損失: 米国アラバマ州の水素生産設備建設計画中止に伴い258億円の減損を計上し、親会社所有者帰属利益は987億円(同6.7%減)に。
- 成長への投資と株主還元の強化: 豪州および欧州でのM&Aを相次いで発表し成長戦略を加速させる一方、年間配当を前期の44円から51円(次期54円予想)へ増配。
3. 業績・収益性のトレンド
売上収益は1兆3,080億円(+4.2%)、コア営業利益は1,891億円(+13.9%)と過去最高水準を更新し、産業ガス特有のインフレ耐性(価格転嫁能力)の高さを示しました。
- 収益性指標: ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は10.4%と、前期(12.9%)から低下したものの、依然として二桁台を維持。自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は40.5%(前期38.0%)へ上昇し、財務基盤の健全化が進んでいます。
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プランをアップグレード業績チャート
成長性の軌跡
● 売上高(棒、左軸) ● 当期純利益(折れ線、左軸) ● 経常利益率(折れ線、右軸)
資本効率の解剖
ROE
デュポン分解(ROE = 純利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ)
還元と評価
■ EPS 1株当たり純利益(棒・左軸) ■ DPS 1株当たり配当(棒・左軸) ● PBR 株価純資産倍率(折れ線・右軸) DPS÷EPS=配当性向
キャッシュフローの質
■ 営業CF(棒・正側) ■ 投資CF(棒・負側) ■ 財務CF(棒・負側に積み上げ) ● 当期純利益(折れ線)
財務諸表
経営指標
| 項目 | 2021年03月期 | 2022年03月期 | 2023年03月期 | 2024年03月期 | 2025年03月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 連結経営指標等 | |||||
| 売上収益 | 8182.4億円 | 9571.7億円 | 11866.8億円 | 12550.8億円 | 13080.2億円 |
| 税引前利益又は税引前損失(△) | 777.1億円 | 916.1億円 | 1055.0億円 | 1507.2億円 | 1452.7億円 |
| 当期利益又は当期損失(△):親会社の所有者に帰属 | 552.1億円 | 641.0億円 | 730.8億円 | 1059.0億円 | 987.8億円 |
| 当期包括利益:親会社の所有者に帰属 | 1166.0億円 | 1293.3億円 | 1154.7億円 | 2198.9億円 | 862.5億円 |
| 親会社の所有者に帰属する持分 | 5131.6億円 | 6287.1億円 | 7243.1億円 | 9144.8億円 | 9804.5億円 |
| 総資産額 | 18362.9億円 | 19770.3億円 | 21589.5億円 | 24090.8億円 | 24182.0億円 |
| 1株当たり親会社所有者帰属持分 | 1,185.82円/株 | 1,452.84円/株 | 1,673.32円/株 | 2,112.66円/株 | 2,265.08円/株 |
| 基本的1株当たり利益又は損失(△) | 127.59円/株 | 148.13円/株 | 168.85円/株 | 244.66円/株 | 228.2円/株 |
| 希薄化後1株当たり利益又は損失(△) | — | — | — | — | — |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 27.9% | 31.8% | 33.5% | 38.0% | 40.5% |
| 親会社所有者帰属持分利益率 | 12.0% | 11.2% | 10.8% | 12.9% | 10.4% |
| 株価収益率 | 1649.0% | 1574.0% | 1411.0% | 1941.0% | 1978.0% |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1492.3億円 | 1487.6億円 | 1879.6億円 | 2159.8億円 | 2351.5億円 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | -596.9億円 | -708.6億円 | -980.7億円 | -1246.5億円 | -1429.3億円 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | -1031.6億円 | -779.5億円 | -544.3億円 | -1100.7億円 | -732.9億円 |
| 現金及び現金同等物 | 910.6億円 | 937.0億円 | 1322.2億円 | 1261.0億円 | 1445.3億円 |
| 従業員数 | 1935700.0% | 1939800.0% | 1957900.0% | 1953300.0% | 1975400.0% |
| 平均臨時雇用人員 | 268300.0% | 271800.0% | 262100.0% | 235200.0% | 244800.0% |
貸借対照表
| 項目 | 前期 | 当期 |
|---|---|---|
| 財政状態計算書 | ||
| 資産 | 24090.8億円 | 24182.0億円 |
| ▶ 流動資産 | 5682.0億円 | 5657.8億円 |
| ▶ 非流動資産 | 18408.8億円 | 18524.2億円 |
| 資産 | 24090.8億円 | 24182.0億円 |
| 負債及び資本 | 24090.8億円 | 24182.0億円 |
| ▶ 負債 | 14629.7億円 | 13972.7億円 |
| ▶ 資本 | 9461.1億円 | 10209.3億円 |
| 負債及び資本 | 24090.8億円 | 24182.0億円 |
損益計算書
| 項目 | 前期 | 当期 |
|---|---|---|
| 損益計算書 | ||
| 売上収益 | 12550.8億円 | 13080.2億円 |
| 売上原価 | 7441.0億円 | 7625.8億円 |
| 売上総利益 | 5109.8億円 | 5454.4億円 |
| 販売費及び一般管理費 | 3464.1億円 | 3593.2億円 |
| その他の営業収益 | 138.6億円 | 114.4億円 |
| その他の営業費用 | 104.0億円 | 366.7億円 |
| 持分法による投資損益(△は損失) | 40.1億円 | 50.1億円 |
| 営業利益(△損失) | 1720.4億円 | 1659.1億円 |
| 金融収益 | 43.9億円 | 38.9億円 |
| 金融費用 | 257.1億円 | 245.2億円 |
| 税引前利益(△損失) | 1507.2億円 | 1452.7億円 |
| 法人所得税費用 | 413.6億円 | 433.3億円 |
| 当期利益(△損失) | 1093.6億円 | 1019.5億円 |
| 当期利益(△損失)の帰属 | ||
| 1株当たり当期利益(△損失) | ||
キャッシュフロー計算書
| 項目 | 前期 | 当期 |
|---|---|---|
| キャッシュ・フロー計算書 | ||
| ▶ 営業活動によるキャッシュ・フロー | 2159.8億円 | 2351.5億円 |
| ▶ 投資活動によるキャッシュ・フロー | -1246.5億円 | -1429.3億円 |
| ▶ 財務活動によるキャッシュ・フロー | -1100.7億円 | -732.9億円 |
| 現金及び現金同等物に係る為替変動による影響 | 124.4億円 | -6.2億円 |
| 換算差額を加算後の増減額及び換算差額がない場合の増減額に用いる。 | -63.0億円 | 183.1億円 |
| 現金及び現金同等物 | 1261.0億円 | 1445.3億円 |
| 連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 1.8億円 | 0.2億円 |
| 合併に伴う現金及び現金同等物の増加額、キャッシュ・フロー計算書(IFRS) | — | 1.0億円 |
| 現金及び現金同等物 | 1261.0億円 | 1445.3億円 |